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大江戸つくどよろず診療所かわら版 第31号

記事タイトル一覧 | 気になる病気にがぶり寄りシリーズ | 仕事人のリレーコラム | 看護部 | お薬ミニコラム | 健康管理センター

記事タイトル一覧


第31号 平成24年12月号

  • 気になる病気にがぶり寄りシリーズ 第5回
    「変形性股関節症」
  • ねんきん病院を支える仕事人のリレーコラム 4
    「管理栄養士」
  • 看護部
    「地域保健活動推進チームの活動をご紹介します。」
  • お薬ミニコラム 4
    「~インフルエンザの予防接種を受けましょう~」
  • 健康管理センター 4
    「乳がん検診について」


  • kawaraban201212
    第31号
    平成24年12月号

    気になる病気にがぶり寄りシリーズ 第5回


    変形性股関節症

    整形外科疾患の中で変形性股関節症は頻度の高いもので、日常生活が大変障害されます。この変形性股関節症に詳しく、多くの手術を手がけている松田達男整形外科部長に“がぶり寄って”いただきましょう。

    ■変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)とは
    股関節は、体幹と下肢を連結し、立つ、座る、歩くなど生活するうえで重要な役割を担うもっとも大きな関節です。正常な股関節は大腿骨の一部である球形の骨頭とこれを支える受け皿状をした臼蓋で構成されております。両者は靭帯および関節包により包まれておりこの向かい合った骨の表面はそれぞれ3、4ミリ程度の表面平滑な軟骨が覆っています。軟骨の表面を滑膜組織から分泌される関節液により潤されることで滑らかに多方向への動きが可能となっております。軟骨に何らかの傷や負荷が加わり変性すると表面に凸凹が生じスムーズな動きが制限されるようになります。軟骨は再生しにくい組織なので徐々に軟骨の摩耗や変性により厚みが薄くなり、やがて、軟骨下の骨が露出し臼蓋側と骨頭側の骨がお互い接触するようになります。こうなりますと安静時や夜間の疼痛を感じるようになり可動域が著しく制限され歩行や日常生活に支障を来すようになります。変形性股関節症とはこのように軟骨の摩耗や変性から不可逆的かつ進行性に関節が変形していく病気です(図1)。

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    わが国での有病率は、1~4・3%で、男性0~2%、女性2~7・5%で女性に多いと報告されています。

    ■変形性股関節症の原因は

    大腿骨頭の受け皿となっている臼蓋が浅く狭い骨格形状を臼蓋形成不全と言い、体の重みを受ける範囲が狭いため一部の軟骨に圧力が集中し軟骨がすり減り傷み易くなり変形性股関節症の原因となります。このようにもともとの股関節の構造的不備や他の原因がもとで変形性股関節症に進行した状態を二次性(続発性)変形性股関節症と言います。他の原因として細菌感染や結核などの炎症性の関節炎や大腿骨頭すべり症やペルテス病、事故による股関節脱臼や骨折、そしてステロイドやアルコール多飲が原因と言われている大腿骨頭壊死症などがあります。一方、まったく股関節が正常にもかかわらず変形が進行する場合もあり、このような状態を一次性(原発性)変形性股関節症と言います。関節軟骨の加齢に加えて肥満や重労働などによる繰り返される過剰な負荷が軟骨を傷める原因とされています。臼蓋形成不全による二次性変形性股関節症は日本人に多いと言われていますが欧米人では一次性変形性股関節症が多いと言われています。

    ■診断および検査
    初期では、運動や長歩きした後の疲労感や胡坐が困難になるなどの症状がありますが進行してくると持続性の疼痛や跛行がみられるようになります。診察では、股関節の可動域が疼痛にて制限され、特に股関節を曲げて外に開きさらに外にひねるような形をして痛みが誘発(Faberテスト)されるようであれば股関節の病気が強く疑われます。また、下肢の長さが反対側よりも短くなっていることもあります。二次性変形性股関節症が乳児期の股関節脱臼や臼蓋形成不全に起因することも多いため既往歴や遺伝的に関節変形を来す病気もあるため家族歴などの情報が重要です。このように股関節の病気が疑われたらまずレントゲン検査ですが、症状のある股関節だけではなく、反対側の股関節との比較ができるように両側股関節正面を撮影します。このレントゲン写真より臼蓋形成不全の診断、軟骨の厚みの評価、さらに骨棘や骨嚢胞についての情報が得られます。MRI検査では関節軟骨の一部である関節唇損傷の有無や関節内水腫が確認できます。また大腿骨頭壊死や腫瘍性の疾患の診断にも有効です。CT検査は3DCTなどにより股関節の形状を立体的に評価し大きさなども計測できるため術前計画に有効です。血液生化学検査では赤血球沈降速度、白血球数などが細菌感染や他の関節疾患の鑑別に有効です。

    ■治療
    変形性股関節症に対する治療としては保存療法(非観血的療法)と手術療法(観血的療法)とがあります。

    1保存療法(非観血的療法)
    軟骨の障害や変性はそこに加わる負荷が原因で進行するため、まずは股関節に対する負担を軽くすることが重要です。そのために体重の多い人は減量し杖を使用し股関節に対する荷重負荷を軽減し、さらに職場の変更、家の階段や必要な個所に手すりをつけるなどの生活環境を工夫することも重要です。関節不安定性のある場合は装具を使用し、足の長さが左右で異なる場合は補高靴を装着することで歩きやすくなることもあります。痛みに対しては主に非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDS)を使用しますが、これは炎症を抑えることで痛みを軽減する効果があります。変形性股関節症は滑膜炎を伴い関節内に必要以上の関節液がたまるとさらに痛みを増強させるため、NSAIDSによりこうした滑膜炎に対して疼痛および炎症を軽減することが期待できます。NSAIDSは消化管潰瘍などの副作用がありますが、胃薬の併用や、最近では胃の副作用を軽減したCOX2選択的阻害剤やNSAIDSが表面に添加された貼付剤を使用することで症状を和らげ副作用を回避することが可能です。

    変形性股関節症による股関節可動域の制限や痛みによる運動量の低下が結果として筋力の低下につながるため筋力強化やストレッチングなどの運動療法、水治療法、温熱療法などの理学療法が有効です。筋力を強化することで股関節が安定化し、歩容が改善します。プール内での歩行やバイブラバスなど水治療法では、股関節にあまり負担をかけずに筋力強化と可動域の改善が図れます。人それぞれで痛みや障害の程度は異なるため個々に応じて、上述した治療方法を選択し経過観察することが重要です。

    2手術療法(観血的療法)
    保存療法でも一向に良くならない場合手術療法の選択を検討します。手術療法の種類としては筋解離術、股関節鏡、骨切り術(骨盤・大腿骨)、股関節固定術、人工股関節置換術(人工股関節形成術)などがあります。

    ①筋解離術は、1950年代より施行されてきた関節変形に伴って生じる筋緊張による疼痛を軽減する低侵襲な手術方法です。しかしながら機能的回復は望めないため人工股関節置換術が普及してからはほとんど行われなくなりました。

    ②股関節鏡は、臼蓋辺縁に連続した関節唇損傷の診断および処置や関節内の遊離体を取り除く際に2、3か所のわずか1㎝未満の小さい手術創にて行える有効な方法です。変形性股関節症の初期の段階で関節唇の障害による疼痛あるいは最近注目されているFAI(Femoroacetabular impingement:大腿骨頭下から頚部と臼蓋辺縁が衝突することで生じる障害)を修復あるいは余分なものを切除することで症状が緩和することがあります。ただしこの処置を行うことで関節症の進行が食い止められるかどうかについて今後さらに検討が必要です。

    ③骨切り術は、おおまかに大腿骨側と臼蓋側に対する骨切り術の二種類があり、いずれも股関節における荷重部の位置関係を改善させて関節へ加わる負荷を軽減し再形成を促すというものです。骨切り術の最大の利点は自分の骨を利用し、人工関節のように異物を使用しないため感染の発生率が少なく、脱臼や耐用年数なども気にする必要がありません。ただし骨切り術は骨を一旦切り離して接合するため骨が癒合するまでの時間がかかり、療養期間が長くなります。また、痛みの残存や関節症が進行することもあるため手術適応を十分に検討する必要があります。たとえば、臼蓋形成不全に対する寛骨臼回転骨切り術は、関節症初期に施行することでその関節症進行の自然経過を変えることが可能となります。しかしながら初期の段階ではまだ痛みや日常生活における支障も少ないため手術が先延しとなり、適応となる時期を過ぎてしまうといったことがしばしばあります。従来この骨切り術は、股関節の外側より展開し手術創も15~20㎝に及び股関節の外転筋群への侵襲が大きく筋力低下の原因になっておりましたが近年、骨盤の内側から骨切りを行うことで外転筋群への侵襲がきわめて少ない臼蓋骨切り術(CPO)が注目されてきています。手術の傷も約10㎝程度で当院においては4例経験しましたが術後経過は良好です。この手術が適応となるのは変形性股関節症患者のうちのごく一部にすぎませんがこの手術により生涯自分の股関節を温存できる可能性がありますので適応のある症例には積極的にすすめたい治療方法と考えます。



    ④股関節固定術は、股関節を固定することで動きに伴う疼痛を緩和し股関節が安定するため若年者で肉体労働をしなければならない人や化膿性股関節炎の既往があり人工股関節置換術の適応とならない人に行われてきました。しかしながら、股関節が全く動かないため椅子に座るときの不自由さがあり、これを代償する腰椎に負担が加わり腰痛の誘因にもなります。したがって人工股関節の材質が良くなり耐久性も向上している今日ではほとんど固定術を適応しなくなりました。さらに、以前固定術が行われた強直股関節に対して人工股関節手術を施行して良好な経過の症例も多く報告されています。

    ⑤人工股関節置換術は、変形性股関節症による疼痛および日常生活の障害を改善する最終手段としては今やなくてはならない治療方法です。国内では年間約4万件施行されており20年前に比べて手術時間や手術創も短くなり侵襲が少なくさらにナビゲーションを利用してより正確にできるようになりました。また人工股関節の材質も向上し耐久性も良くなっております。術後経過も1週間程度で荷重し歩行可能となり療養期間も短くて済みます。術前の股関節痛がなくなりまた動かす時も骨どうしがこすれあうような違和感がなくなりスムーズになります。ただし金属と体との親和性や耐久性そして脱臼に対する不安などが付きまといます。実際にはめったに脱臼しませんが構造的に脱臼の合併症が0%という保証はありません。また、将来的に人工股関節が骨との間に緩みが生じることによる不具合で再手術を余儀なくされることもあります。しかしながら、数多くの人が人工股関節手術を受けることで痛みから解放され日常生活を普通にできるようになっていることも事実です。これを維持するためには人工股関節の特質を理解し定期的な術後検診を継続することが重要と考えます。

    手術療法により股関節が良くなってもこれを動かす周囲の筋肉が働かなければ治療の目的を達したとは言えません。筋肉を動かすことができるのはその本人だけですのでどのように筋肉を動かせばよいのかを習得するべく運動指導などのリハビリテーションが重要です。
    当院は広い施設や多勢のスタッフを有しており、変形性股関節症に対してがぶり寄りをする力に不足はないと思います。

    整形外科 松田達男



    ねんきん病院を支える仕事人のリレーコラム 4


    管理栄養士



    今、病院や福祉施設等の職員欄に必ず「管理栄養士」の名前があると思いますし、オリンピック選手の専属「管理栄養士」や、テレビの情報番組で、食材に対する栄養価などについて説明している方のテロップに「管理栄養士」と紹介されている事があると思います。が、一体、「管理栄養士」という資格は、どういうものなのでしょうか?

    「管理栄養士」は栄養士の資格を持ったものが、厚生労働省令で定める学校や病院などにおいて2年以上従事し、および4年生大学を卒業した者が、「管理栄養士国家試験」に合格した場合に、管理栄養士の資格が与えられます。その仕事内容は、病院・福祉施設などにおける栄養指導、栄養管理、地域住民の栄養指導や栄養調査、研究所等におけるトクホ食品(厚生労働省認定 特定保健用食品)の開発等々があります。2002年4月の法改正により、国家資格となって、より高度な専門知識や技術が求められるようになってきました。

    「管理栄養士」のお仕事といっても、一口では言えないくらい色々と内容がありますので、当院で行っていることをお話していきたいと思います。

    当院では、入院患者さまの栄養管理や嗜好調査(とくに化学療法中で食欲が低下なさっている方)、入院・外来患者さまの栄養相談、糖尿病教室・高血圧教室・高脂血症教室・母親学級・脳卒中教室・肝臓教室の講師、メタボ予防検診の栄養相談等も行っており、また、多職種の医療スタッフとともに「栄養サポートチーム(NST)」・「褥瘡チーム」に参加し、入院患者さまのより早い回復や早期退院が出来るようお手伝いしています。また一方で、一般食・治療食を召し上がっていらっしゃる方の献立作り、治療食の食事作りも行っています。このように、体と食事に関する事を広範囲にわたって携わっています。どちらをとっても、患者さまの体の栄養状態を把握し、その方の病態に合わせて、よりよい栄養補給を行い、よりスピーディに低栄養状態からの脱却を図るよう努力しております。

    だからと言って「管理栄養士」は365日、毎食違う食事を作り、作る食事もおいしくって、栄養バランスも完璧であるというイメージをお持ちになる方もいらっしゃいます。こういう方は極まれにいると思いますが、でも、ほとんどは、皆さんと同じことを考えたり、同じような行動をしています。食事作りが面倒であれば、外食したり、コンビニ弁当を買ったり、ケーキも食べれば、大福も食べます。カレーを作りすぎたら、2日も3日続けて食べたりもします。どこのご家庭の方とも一緒です。ですから、「担当医から、栄養指導を受けろって言われたんだよ。いやだな。好きなものが全部食べられなくなっちゃうんだよね。」と思っていらっしゃる方、そんなことはありません。そのお家の食習慣に合わせて、ご一緒に問題点を見つけて、改善点を考え、改善し実行できるよう、アドバイスさせていただいております。ご心配なさらず、お気軽にお声かけ下さい。

    「こういうやり方もあるのか」「こういう方がやりやすいな」と思っていただいたら、是非、実行してみて下さい。お薬と違い速効性はありませんが、「なんだ、これくらいしか、変化がないのか」と思わず続けてみて下さい。食品なので、少しずつ、変化が出てくると思います。ゆっくりですが、1歩ずつ、改善できるようお手伝いさせていただいていることを、お仕事としております。

    (栄養部 鬼頭延枝)



    看護部 地域保健活動推進チームの活動をご紹介します。


    看護部では、平成20年より、患者・家族や地域に暮らす方々、あるいは医療・介護サービスの提供者の方を対象に、看護サービスの一環として健康教室を中心とした地域への健康保健活動を行ってきました。主に生活習慣の改善および疾病予防、健康増進を中心とした、様々な情報、知識、技術、精神的サポートなどを提供することを目的にしています。

    昨年は、「生活を整えることから予防につながる!」として、

    • 脳トレでボケ予防
    • 知っていれば怖くない感染予防
    • メタボが気になる方へ~食事と運動のすすめ~
    • 日常のスキンケアと今どきのキズの治し方

    以上4回の「看護公開講座」を行いました。

    参加者は51名。皆様からのご意見では、参加体験型の企画もあり、非常に楽しく参考になると、毎回好評でした。他にも、家族や友人にも伝えようと思う、続けていくことが大切だと感じたなど、健康や生活を改めて考えるきっかけになったという意見がたくさんありました。また、参加者の方の中には、お帰りの際に個別に質問や相談をなさる方もいらっしゃいました。

    「看護公開講座」のテーマは、地域の高齢者総合相談センターへアンケートを実施したり、ご意見箱を総合案内に設置したりして、皆様からのご意見を随時募集しています。

    今年度の予定は、「私達に身近な病気、がんについて」として、このようなポスターの内容で実施します。

    ご家族のために、ご自身のために、その時のために、関心をお持ちの方は、どうぞご参加ください。

    さらに、もうひとつの活動として、昨年度から看護師による相談の窓口を開いています。

    どなたでもお気軽にご相談いただけるよう、平日の10:00~11:30、玄関フロアのファミリーマート前で「健康相談」を無料で実施しています。

    昨年度の相談件数は、533件でした。

    相談内容は、ご自分の健康や体調のこと、ご家族の介護のこと、治療に伴う悩みなど様々です。

    オープンスペースではありますが、不安や疑問の解決の糸口に、何か少しでもお役にたてればと考え対応しています。どうぞご利用ください。

    このように、今後も看護サービスの一環として、健康増進や生活の質にかかわる活動を続けてまいりたいと考えております。ご意見ご要望をどんどんお寄せください。

    (看護部 地域保健推進チーム)





    お薬ミニコラム 4


    インフルエンザの予防接種を受けましょう

    kawara1212_0302皆さんは毎年インフルエンザの予防接種を受けていらっしゃいますか?当院のスタッフは原則接種が義務付けられています。注射が嫌いな人には恐怖の時期ですが(苦笑)、毎年顔を背けながらも受けるメリットなどを含めて、今回はインフルエンザの予防接種に焦点をあててお話したいと思います。

    インフルエンザは感染力が高く、一旦流行が始まると短期間に多くの人へ感染が広がります。症状も、喉や鼻の症状に限らず、高熱・頭痛・関節痛など全身症状が現れることが特徴です。子供やご高齢の方、免疫力の低下している方に感染してしまうと重篤になりやすいことから、予防が重要と考えられています。

    ワクチンの最大の効果は発症予防&重篤化を防ぐ効果です。予防接種を行うことで、インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防し、健康被害を最小限にとどめる事が期待できます。実際に日本の研究でも、高齢者の発症率・死亡率ともに大きく阻止する効果が認められました。2歳以下の小児はワクチンの効果が弱いことが分かっています。生後6カ月未満の乳児や、アレルギーや基礎疾患があるためにワクチンを受けられない人もいます。さらに、ワクチンを接種したからといって100%感染しないというわけではありません。

    しかし、このように有効性に限界があるからこそ集団で感染を予防する「集団免疫効果」が注目されています。インフルエンザワクチンにおいて、83%の接種率が達成されている集団では、接種を受けていない人もインフルエンザに罹りにくいということが証明されており、社会全体を守る上でとても大切な考え方です。

    インフルエンザワクチンは、ウイルスから免疫を作るのに必要な成分だけを取り出しておりウイルスとしての働きはありません(=不活化ワクチン)。それは、予防接種で感染する心配はないというメリットがある一方で、効果が長く続かないという弱点もあります。また、インフルエンザワクチンは毎年その年に流行する型を予測して作られています。流行型は毎年異なること、免疫持続期間は接種した2週間後から5ヶ月程度と考えられていることから、流行期である12~3月頃に備えて、毎年12月上~中旬までにワクチン接種を受ける事が望ましいと考えられています。

    最後に…、インフルエンザを予防するためにはワクチン接種と並行して、人混みや繁華街を避ける、外出後の手洗い・うがい等、ウイルスを物理的に除去することが基本となります。また休養や適切な栄養摂取など自身の体調を整え免疫力を維持することも大切です。ワクチン接種で満足するのではなく、これらの基本的な予防法をきちんと行う事を忘れずに、インフルエンザの流行を食い止めていきましょう。

    (薬剤部 藤掛沙織)



    健康管理センターのご案内


    東京厚生年金病院の中に、人間ドックや健診を専門に行っている部門があることをご存知でしょうか?健康管理センターは九七年に別館の2階にオープンし、一日約四〇名の方の健診を行っています。今後も地域の皆様や通院中の方々の健康管理にぜひ利用して頂きたいと考えております。

    「日帰り人間ドック」は、結果の説明を含めて午前中に終了します。診察と検査、結果の説明は病院のスタッフが行いますので、病院との連携もスムーズで安心して受けていただけます。

    医学は日進月歩ですが、やはり予防と早期発見に勝るものはありません。特に超高齢化社会になり、高齢者の脳梗塞や骨折が増えていますし、肺・心・腎疾患を合併することが多くなっています。また、三人に一人の方ががんで亡くなっています。全身的な健康チェックを受けていない方や、健康に自信がある方でも年に一度は人間ドックを受けていただきたいと思います。

    これから数回に分けて、当センターで行っている特色のある検査についてご紹介していきましょう。


    (健康管理センター センター長 蔵本美與子)


    乳がん検診について

    当院健康管理センターの乳がん検診(視触診、マンモグラフィ)に今年三月から超音波検査が加わりました。そこで、日本の乳がんの現状と超音波検査を併用することによる利点についてお話しします。

    ■日本の乳がんの現状
    乳がんの罹患率は平成六年に、胃がんに代わってトップになっています。従来、乳がん検診は視触診によって行われていましたが、マンモグラフィ(乳腺専用のⅩ線検査)が平成十二年に導入され、視触診だけでは触知できない乳がんも発見されるようになりました。しかし罹患率・死亡率ともに増加傾向にあります。また、日本の乳がんの特徴は、罹患率が他のがんに比べて比較的若い年代、三十歳ごろから増え始め、家庭や職場での役割が大きい四十代後半から五十代にピークがあることです(図1) 。



    ■超音波検査の必要性と利点
    a4b1879cbab20bda8387f5862bd79703乳房は母乳をつくる乳腺組織とそれを支える脂肪組織からなっていますが、乳がんはその乳腺にできるがんです。マンモグラフィでは脂肪は黒く、乳腺は白く見えますが、乳がんも白っぽく見えます(図2) 。

    そのため、乳腺密度が高い乳房(四十歳以下)では全体が白くなり病変を発見できないことがあります。一方、超音波検査では同様に乳腺は白く見えますが、乳がんは黒っぽく見えるため発見ができます(図3)。

    従って、特に四十歳以下の方には超音波検査が必要となるのです。

    視触診・マンモグラフィの乳がん検診に超音波検査を組み合わせると、がんの発見率は向上します。両方同時に受けることにより、マンモグラフィが異常であっても超音波検査で明らかに良性の腫瘍だとわかれば精密検査がいらなくなります。しかし良性腫瘍や、より早期のがん、腫瘍のように見える乳腺症なども見つかり、良・悪性の鑑別が難しいケースも多く拾い上げることになります。

    ■乳がん検診で異常がみつかったら、次は?
    超音波検査は、音が物にぶつかると反射して返ってくる性質を利用したもので、痛みやⅩ線被爆のない検査です。乳がんの大きさや種類により様々な見え方をします。その特徴によりどのような腫瘍なのかある程度、推測できるのですが、小さいとがんかどうかわかりにくいことがあります。その場合、数か月後に超音波検査を再び行うなどの経過観察や針生検(病変の一部を採って顕微鏡で調べる検査)などの精密検査となります。

    ■乳がん検診を受けましょう
    乳がんは早期(2㎝以下)で治療すると約9割が治ると言われています。どんながんでも小さいうちは見つけにくく、早期発見のためには、異常がなくても二年に一度は検診を受けることをお勧めします。また、乳がん検診で精密検査が必要といわれたら、必ず乳腺外科を受診してください。



    (中央検査室 羽鳥和江)

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