令和6年度卒業式
3月4日に、保護者、在校生参加のもと、卒業式を挙行いたしました。45名が卒業を迎え、関根学校長よりひとりひとりに卒業証書が授与されました。
関根学校長の式辞では、AI時代のなかで生成AIの示すとおりに行うのではなく、それらを活用しながらも自分で考え判断することの重要性とともに、先輩や仲間はもちろん、患者・家族としっかりコミュニケーションを大切にしてほしいというメッセージをいただきました。
卒業生の答辞より
私は実習のなかで、腰椎椎体骨折により入院している90代の患者さんを受け持ちました。患者さんは術後の疼痛に加え、入院前から嘔気の訴えが強く続いており、術後の食事摂取や離床がなかなか進まない状態でした。また、患者さんは認知症を患っており、どのようなときに嘔気が強くなるのかを明確に伝えることが困難でした。嘔気の訴えに対して、患者さんが少しでも楽になるようにと傍に付き添い身体をさすっていましたが、嘔気の要因が明らかとならないことや、嘔気が伴うなかでも低栄養の改善のため食事摂取量を向上していくためにはどうしたら良いのかと、看護の方向性に悩みました。そんなとき、先生は遅い時間まで親身に向き合って下さいました。「患者さんはどんな時に嘔気が強くなっているのかな?」と先生に尋ねられた際に、私ははっきりと答えることが出来ず、その都度の嘔気の対処を行うことばかりに視点がいき、患者さんの変化や反応を細やかに捉えられていなかったことに気付きました。この気付きを経て、翌日からの関わりでは一つひとつの援助時に患者さんの言動を細かく観察すること、言動から捉えられるアセスメントを詳細に行うことを意識して取り組みました。その結果、ベッド上にて食事摂取を行っていた患者さんにとって、ギャッチアップにより着用していたコルセットの圧迫感が増強し、食事摂取量が減少しているのではないか、という気づきにつながりました。その後、車いすに離床して食事摂取を行うことで、コルセットによる圧迫感を軽減し、食事摂取量を増大することができました。このように、先生方が看護の視点について気付きを与え導いてくださったおかげで、私たちは自身の課題を明確にし、患者さんにとっての最善の看護について考え、援助につなげていくことができました。
また、看護研究では、私は精神看護実習で受け持った統合失調症の患者さんとの関わりについて研究を行いました。長期入院により日常生活が制限されていた患者さんと売店へ行った際に、患者さんから得られた「小さな幸せね」という一言をきっかけに、その言葉の背景やこれまでの信頼関係の構築過程を研究にて振り返ることで、自身の言動一つひとつが、患者さんにとっての原動力ともなりうるのだという気づきを得ることができました。このことは、看護への責任の重さを実感する一方で、看護の楽しさを感じられる機会となり、私の学生生活のなかで大きく尊い学びとなりました。
おわりに
学生は様々な壁にぶつかりながら、みなそれぞれに自分が患者さんにできることは何かを考え、看護とは何かを少しずつつかんできたようでした。看護学校は卒業ですが、これは新たな始まりでもあります。自分の夢に向かって進んでいく中で、学んだことを忘れず、常に誠実で、他者に対して思いやりのある人であり続けてください。