パンフレット

かわら版56号

記事タイトル一覧

第56号 令和7年7月号

大江戸つくどよろず診療所かわら版 第56号

第56号
令和7年7月号

*掲載の写真はご本人の了承を得ております。

側弯センターを開設

側弯センター集合写真

小児側弯症にもチームで対応

側弯矯正固定術

手術をより安全に行うために、当センターで は手術中に生理機能検査技師が常時、神経の 麻痺が生じていないかモニタリングを施行 しています。また、手術中に挿入する金属は ナビゲーションシステムを使用し安全に挿 入し、挿入後もO-arm(オーアーム)システム を使用してスクリューの位置を確認するこ とができます。側弯症のインプラント挿入 は、技術的に難易度が高くこれらの対策にて より安全に手術が行えるようにしています。

写真 側弯側弯矯正固定術

側弯センターとは

側弯症は整形外科領域の中でも非常に専門性が高い分野です。側弯症は背骨が捻れることによって背骨の痛み、神経痛だけではなく肺や消化器など全身に影響する疾患であり、各分野の専門医とチーム医療をおこなっていかなければ対応できません。そのため、側弯センターを立ち上げることとなりました。
当センターの脊椎外科医は、整形外科医の中でも数少ない側弯症(背骨が曲がる症状)の専門医であり、その豊富な知識と経験を活かし、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供しています。

また、当センターでは、手術に限らず、非手術治療にも力を入れています。患者さんの状態に応じ、ギブスや体幹装具の使用、リハビリテーションを組み合わせ、予防治療・早期治療を実践することで、負担の少ない治療を目指しています。

小児側弯症とは

特に、小児側弯症の治療に強みを持ち、難易度の高い神経筋疾患を抱える小児に対する専門的な治療が可能な日本でも数少ない病院です。最大の特徴は、日本で初めて、側弯症治療に専属の小児科専門医が参加し、各分野の専門医とチームを組み、複数の複雑な症状を総合的に考慮した個別の治療を提供していることです。 小児リハビリテーションでは、成長発達を促進させるための入院集中リハビリテーションを行っています。ロボット技術や筋電気刺激を活用し、運動機能の向上を目指します。脊椎、股関節、足部は整形外科医師、療法士、装具士と協力体制を敷き、ボツリヌス毒素治療、装具等での早期介入を行っています。また、青年期の脊椎外科患者さんの装具のメンテナンス、筋緊張コントロールも行っています。 脊椎脊椎外科 野原亜也斗(センター長)・松本葉子

図

がん治療と七人のサムライ

がん治療で肝要なのは早期発見と適切な治療

切除可能肝細胞(せつじょかのうかんさいぼう)がんのうち、径30mm 以内の腫瘍は経皮的焼灼術(けいひてきしょうしゃくじゅつ)も可能です。腫瘍径(しゅようけい)と局(きょくざい)在に応じてラジオ波とマイクロ波焼灼術の何れかを選択します。切除不能肝細胞がんの薬物治療では2019 年、胆道癌では2022 年に免疫チェックポイント阻害薬が承認され、化学療法( 制がん剤) との併用で治療成績が改善しています。がん治療で肝要なのは早期発見と適切な治療です。定期的な質の高い画像検査( 超音波、CT、MRI) が重要です。
(消化器内科 藤江 肇)

共に考える肺がん治療

肺がんの治療は、分子標的治療薬(ぶんしひょうてきちりょうやく)や免疫チェックポイント阻害薬の開発と実用化が特に進んでいる分野です。最近では抗体薬物複合体(こうたいやくぶつふくごうたい)(ADC)も新たな治療選択肢として期待されています。これらの薬剤に加え、従来の抗がん剤との併用療法など、さまざまな治療法があります。呼吸器内科では、患者さん、ご家族と相談しながら一人ひとりに最適な治療を提供できるよう努めています。
(呼吸器内科 清水 秀文)

泌尿器科のがん診療

近年薬物療法の発展は著しく、免疫チェックポイント阻害薬単独もしくは他の薬剤と組み合わせて使用する方法が増えてきています。がんに対する免疫力を強化することで有効性が高まり、効果が長く持続するようになりました。 膀胱(ぼうこう)がんでは、がん細胞に特異的に発現する抗体に薬物が結びつくことで作用する抗体免疫複合薬(こうたいめんえきふくごうやく)(パドセブ®)が登場し、治療成績の大幅な改善が期待されています。前立腺がんでは、薬物選択の決定に際してがんの遺伝子情報が有用となってきています。 このように治療方法は日々変化していますので、私たちは常に技術や知識のupdate に取り組んでいます。また新しい薬物の登場に伴って様々な副作用も発現しますので、関連する診療科と連携して柔軟に対応しています。
(泌尿器科 木藤 宏樹)

消化器領域の新しい免疫チェックポイント阻害薬

消化器内科では食道、胃、大腸、肝胆膵(かんたんすい)、いずれの臓器のがんでも新しい薬が開発され、進行がんでも予後の改善が期待されています。最近話題となっている免疫チェックポイント阻害薬だけでも消化器領域では6 種類が上梓(じょうし)されています。もちろんがん治療は早期発見、内視鏡治療が有効です。様々な工夫により治療精度が向上しています。早期発見のために病変の拡大が出来る最新の内視鏡を導入しています。
(消化器内科 森下 慎二)

新しい二重抗体薬の誕生

白血病やリンパ腫、骨髄腫(こつずいしゅ)などの造血器腫瘍(ぞうけつきしゅよう)に対して新規薬剤が多数登場しています。 最近では“ がん免疫療法”と称される「二重抗体薬」が開発されました。これはヒトの体内に備わっている免疫細胞(T 細胞)とがん細胞とを結合しやすくさせる事で、自らの免疫細胞にガン細胞を攻撃してもらう治療方法です。従来型の抗がん剤と異なり他の臓器への毒性が少ないのが特徴で、現在B 細胞性リンパ腫と多発性骨髄腫に対して適応があり、当院でも治療を開始しています。
(血液内科 大坂 学)

肺がん治療に大きな変化

昨年は肺がん治療に於いて大きな変化のあった年でした。 手術療法では、2cm 以下のI期非小細胞肺(いちきひしょうさいぼうはい)がんに対し、縮小手術が標準手術となりました。当院でも術前CT ガイド下マー キングによる腫瘍位置(しゅよういち)の同定や、特殊な色素を使用し術中に摘出範囲の同定(左写真)を行い、より安全で確実な手術を目指してます。 局所進行肺(きょくしょしんこうはい)がんでは、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬が周術期治療に加わり、予後の延長が期待されてます。
(呼吸器外科 岡本 淳一)

ロボット・腹腔鏡手術

当院は積極的にロボット・腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)を行なっています。小さい創(そう)、早い回復が特徴です。 また、化学療法は分子標的治療薬(ぶんしひょうてきちりょうやく)、免疫療法の登場で以下のように進歩しています。 長期生存:切除不能な、あるいは再発した大腸がんでも長期生存が可能となりました。 切除率向上:当初は切除不可と思われた症例でも、化学療法や放射線療法により切除可能となることが増えました。 再発率低下:化学療法により再発率が低下しています。
(消化器外科 東 久登)

専門看護師・認定看護師活動がんばってます

看護師集合写真

私達看護師の仕事は、患者さんの看護はもちろんのこと、診療の介助、採血や各科に特有の処置を行ったり、自宅療養に関するそうだんを受けたり、ご家族の心理面の支援など多岐にわたります。その中で特に専門的な技術や知識を必要とする分野の例として、術後の傷や褥瘡のケア、がん患者さんの治療支援や痛みの管理などがあります。こうした専門分野で活躍をしているのが、特別な研修を経て日本看護協会から認定を受けた「専門看護師」と「認定看護師」です。当院には様々な分野の専門看護師・認定看護師が所属しています。次回からはそれぞれの活躍についてご紹介して行きたいと思っています。どうぞお楽しみに!(専門・認定看護師会( 相川(あいかわ)・田淵(たぶち)・山口(やまぐち)・山地(やまじ)・竹田(たけだ))
*専門看護師:慢性疾患看護 1 名
*認定看護師:クリティカルケア 1 名 感染管理 2 名  糖尿病看護 1 名 認知症看護 1 名 皮膚・排泄ケア 3 名 緩和ケア 4 名 手術看護 1 名 透析看護 1 名 がん性疼痛看護 1 名

緩和ケア病棟の精神腫瘍医

緩和ケア病棟写真

私はがん患者さんのこころのケアに関わる精神腫瘍医(せいしんしゅようい)として、緩和ケア病棟で働いています。緩和ケア医の先生方と一緒に病棟回診に同行し、病棟スタッフと一人一人の患者さんの治療やケアについて検討するカンファレンスに参加し、患者さんやご家族の様々なお話を伺っています。時には医療スタッフには直接話しにくいお話を伺い支援につながることも有ります。 がん治療の経過中には、4つの苦痛、①痛みや倦けんたいかんなど怠感等の身体的苦痛②病気に対する不安や心配等の精神的苦痛③医療費や就労継続の問題等の社会的苦痛④『何でこんな病気になったんだ!』等根源的尊厳的(こんげんてきそんげんてき)苦痛、があるといわれています。そうした様々な苦痛の緩和を目的に、病棟スタッフと共に取り組んでいます。(緩和ケア内科 幸田(こうだ)るみ子)

院スタグラム

2025年3月1日 なるなるフェスタ 吉住区長と四ッ谷保健センターにて

2024年12月3日 ACP市民公開講座 参加者とアドバンス・ケア・プランニングについて勉強しました。