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かわら版53号

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第53号 令和5年12月号

大江戸つくどよろず診療所かわら版 第53号

第53号
令和5年12月号

*掲載の写真はご本人の了承を得ております。

帯状疱疹ってなに? 帯状疱疹とワクチンについて

最近、帯状疱疹が話題になっていることをご存知でしょうか。テレビでも頻繁にCMが流れ、今まで以上に認知度が上がっている気がします。皮膚科では入院患者数の1、2位を争う疾患なのですが、実際のところ、「帯状疱疹ってなに?」「かかったら大変なの?」と思っている方も多いと思いますので、今回は帯状疱疹と帯状疱疹ワクチンについてご紹介させていただきます。

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによる疾患です。子供の頃にかかった方も多いと思いますが、このウイルスの初感染では水痘(水ぼうそう)になります。この時に感染したウイルスが神経を伝わって神経節に侵入し、そこに生涯潜伏し続けるといわれています。疲労や悪性腫瘍の合併などによって免疫機能が低下した時に、ウイルスが神経節の中で再活性化して増殖し、神経を伝って皮膚の表面やいろいろな臓器にまで到達して、障害や痛みを引き起こします。50歳以上から罹患率が高くなりますが、実は日本人の80歳までに3人に1人、90歳では2人に1人はかかるという非常に身近な病気です。

典型的な経過では、体の片側の神経分布領域に一致した痛みや知覚異常などが数日から1週間続き、やがて虫さされのような皮疹が出現します。間もなくそこに水ぶくれが多発して、約1週間で破れたり吸収されたりします。皮疹の出現後1週間までは紅斑や水疱が新しくできて皮疹の拡大がみられますが、その後は徐々にかさぶたとなり、約3週間で治癒します。約2割の方には、帯状疱疹後神経痛が長く残ると言われています。

では、入院が必要になる重症な帯状疱疹とはどのような場合でしょうか。一般的には、皮疹が顔に出る、あるいは皮疹の程度や痛みが強い場合です。また汎発性帯状疱疹といってウイルスが神経の中に留まらず全身に水痘のような皮疹が出た場合も、入院をお勧めしています。なぜかというと、帯状疱疹の合併症には神経痛以外にも様々なものがあるためです。眼の周囲に皮疹が出た場合は角膜炎や結膜炎、ぶどう膜炎、外眼筋麻痺などが生じたり、頬やあごにかけての皮疹の場合には、同側の顔面神経麻痺などを伴うラムゼイ-ハント症候群になることがあります。また、外陰の皮疹では尿や便が出なくなるなど、神経の支配領域に応じた様々な合併症や後遺症を引き起こすことがあります。

メディカルクラークと外来メディカルクラーク

医師の事務作業の負担軽減を目的に「医師事務作業補助者」が誕生しました。当院では「医師事務作業補助者」をメディカルクラーク(MC)及び外来メディカルクラーク(外来MC)と称し、これまで医師が担っていた事務作業を代行することで、医師が診療に専念できる環境づくりを行い「医療の質向上」に一翼を担っています。 当院にはクラークと称する職種が複数ありますが、医師事務作業補助者(MC、外来MC)は、32時間の研修を受けた者が従事しています。 今回はこの「メディカルクラーク(MC)」と「外来メディカルクラーク(外来MC)」について御紹介致します。

メディカルクラーク(以下:MC)

2000年頃より日本各地の病院で医師の事務的な業務負担を軽減する取り組みが行われてきました。そして2008年の診療報酬改定で勤務医の負担軽減を目的に創設された「医師事務作業補助体制加算」が選定され、これに伴い「医師事務作業補助者」という名称の職員が誕生しました。当院ではこの医師事務作業補助者のことをMCと称しています。 MCになるには、厚生労働省が指定する研修を履修しなければならず、医療事務職の中でも専門性が高い職種になります。 MCの主な業務内容は、検査オーダー等の代行入力、外来陪席、診断書や紹介状の下書き作成、学会の症例登録等の業務を行っています。一般的なクラークとの一番の違いは、医師が行う業務を医師の指示のもと代行して行うことです。 少しでも医師の業務負担の軽減に貢献できるよう心がけて日々業務に取り組んでいます。 (メディカルクラーク 野村 有紀)

外来メディカルクラーク(以下:外来MC)

「こんにちは、※※科外来です」私たち外来MCが電話口で最初に口にする言葉です。 外来MCの業務は、問い合わせ電話に対応する事が中心です。患者さまからの問い合わせ、予約や検査の変更、薬局や医療機関からの問い合わせなど多岐にわたります。また電話が鳴る度に毎回異なる問い合わせに瞬時に対応しなければならず、臨機応変な対応が必要です。そのほか休診の案内や変更、指導料などの確認、各部署への連絡や情報提供書の依頼、データ解析入力なども並行して行っています。

集合写真

これらは数年前まですべて医師が行っていましたが、外来医師の業務負担を軽減する目的で外来MCが従事するようになりました。 外来MCの業務は医師の指示のもとに行います。その為患者さまと直接お会いする機会が少ないのですが、時には検査への不安や体調の変化を伺い、医師と患者さまを繋ぐ架け橋の役割を担っています。 (外来メディカルクラーク 尾谷 聖子)

オレンジチームと箪笥町高齢者出張相談について

ちらし

当院は初めて来た方や認知症の方にも受診していただきやすい病院を目指して、2021年10月にオレンジチームを立ち上げ、様々な活動を行っています。オレンジは認知症のシンボルカラーで、チーム名の由来になっています。この活動に関連して、箪笥町高齢者総合相談センターのご厚意により、2023年1月から当院にて高齢者出張相談が始まりましたので紹介させていただきます。 毎月第2水曜日午前11時から午後1時に、病院正面玄関横の図書スペースにて、箪笥町高齢者総合相談センターの相談員による出張相談を開催しています。当院受診の際、あるいは受診日でなくても、ご利用いただけます。

相談写真

ご自身やご家族さまのことで困っていること、例えば「介護保険はどうやって申請すればよいか?」「家族が認知症で困っているけどどうしたらよいか?」「リハビリができる場所を紹介して欲しい」といったことが相談できます。相談員の方としては、地域の方が困っていることをもっと早めに拾い上げたい!という熱意を持って来られています。是非ご利用ください。 また、案内チラシは病棟や外来においてありますのでご自由にお持ちください。 (オレンジチーム 黒川 隆史)

新しく1.5T MRI装置が更新されました。

今年5月から新しくフィリップス社製1・5T MRI装置が稼働し始めました。MRIはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略で非常に強い磁場と電波を使用して検査をしています。

以前のものと何が変わったのでしょう。外観はトンネルの直径が10cm広がったことによって、見た目は以前より解放感が増しました。検査をする時に出る騒音は変わりありません。画像を取得するためにどうしても必要な現象です。一部に騒音を軽減する技術がありますが、不快な騒音はすべて防ぐことはできません。そのため耳栓、ヘッドフォン等で騒音を抑えて検査を行います。

MRIの検査を受けていただくためにいくつかの条件があります。体内に磁性体金属がある場合は、やけどや体内金属が移動する可能性があります。場合によっては検査できないこともあるため主治医にご確認ください。身に着けている金属類にも注意が必要です。下着、ピン止め、カラーコンタクト、ラメ含有化粧品、湿布、カイロ等はやけどをする可能性があり、また画像に影響を及ぼすため、検査当日はなるべく金属類を外して来院していただくと検査がスムーズにいきます。 当院では1・5Tと3T MRI装置が稼働中です。今後さらにより良い画像を提供できるようにスタッフ一同努めていきます。           (放射線室 スタッフ一同)

新ユニフォーム紹介

新ユニフォーム

メディカルのユニフォームが新しくなりました!左から 診療放射線技師、臨床工学士、薬剤師、臨床検査技師、リハビリテーションスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、栄養士

院スタグラム

2023年7月28日 4年ぶりの神楽坂まつり 阿波踊り大会に参加しました

冒頭でもお話ししたように、「もしものとき」には、多くの方が大切なことを自分で決めることができなくなります。代わりに、自分の信頼する人が「多分、こう考えるだろう」と本人の気持ちを想像して、今後の医療や過ごし方について考えて決めていきます。その時に「人生会議」が大きな助けとなるのです。

「人生会議」とは、自分が大切にしていることやどう生きていきたいか、どのような医療やケアを受けたいかを、信頼している人と前もって繰り返し話しあうことです。これはアドバンス・ケア・プランニングといわれ、「人生会議」はその愛称です。

Aさんは、著名人の闘病生活のニュースをみたことをきっかけに、自分のやりたいことや、大切にしていることなどを時々話していたそうです。それを聞いていた息子さんは、「父ならこう考えるだろう」と想像しながら今回の決断をしました。Aさんが元気な時に話していたことが、息子さんの助けになったと思います。今後その決断に悩むことがあるかもしれませんが、それを癒すのも「お父さんの希望に添って決めた」という思いではないでしょうか。

「もしものとき」は誰にも訪れます。元気なうちに、自分の希望や価値観について、信頼できる人と話し合あってみてください。好きな食べ物やこれからやりたいこと、過ごしたい場所はどこかなど小さなことからで構いません。繰り返し話し合う中で、今後の人生で大切にしたいことなども話題にしてみてください。そうすることで、あなたの希望がこれからの生活に反映され、「もしものとき」に家族の助けになると思います。

(看護部 榎本 英子)