診療・各部門
診療内容
泌尿器科は、主に尿路に関連した疾患を扱う診療科です
尿路は、尿を作る腎臓や、尿の通り道である尿管・膀胱・前立腺・尿道で構成されています。
その他、ホルモン産生に関係する副腎や精巣も対象になります。
これらの臓器に発生した炎症や腫瘍、老化に伴う疾患などを中心に、幅広く診療を行っています。
地域の中核病院として、近隣病院やクリニックと親密な連携を図りながら、
地域住民の方々に医療を提供しております。
予約制・紹介制について
2017年4月より、診療を円滑に行うため予約制・紹介制とさせていただきます。
事前に予約をお取いただき、ご来院されますようお願いいたします。
医学的に緊急診療が必要と判断される患者さんについては、この限りではありません。
※他院通院中の方は、紹介状を必ずお持ち下さい。
初診外来(月曜日から金曜日までの午前9時から11時30分)
かかりつけ医や治療中の医療機関がございましたら、紹介状(診療情報提供書)や画像資料等をお持ちください。
紹介状をお持ちの患者様は、「外来予約センター」で予約が可能です。
初診外来の時間内であれば、予約がなくても診察可能です。混雑状況や急患等によりお待たせする場合もございます。
再診外来
2回目以降受診される場合は再診外来の受診となります。予約制となっており、診察時に医師が必要に応じて次回の予約をお取りします。外来予約センターでの電話予約も可能です(平日8時30分から17時。電話:03-3269-8180)。
セカンドオピニオン外来
セカンドオピニオン(主治医以外の医師から治療法などの意見を求める)を希望される方は、泌尿器科外来へ電話して予約をおとりください(平日14時から16時30分)。水曜日午後15:00にセカンドオピニオン外来を開設しています。何らかの資料(主治医からの紹介状と画像診断フィルム等)をお持ちください。料金は一件あたり30.000円(税別)です。
専門外来
当院では、女性泌尿器科、男性不妊症、遺伝カウンセリングの専門外来や泌尿器科治療におけるセカンドオピニオンを行っております。いずれも完全予約制です。紹介状をお持ちの患者様は、「外来予約センター」で予約が可能です。
メッセージ
排尿や性機能に関するちょっとした悩みがあっても、泌尿器科受診はなんとなく恥ずかしいとためらってしまうことも多いと思います。
「最近トイレに行く回数が増えた」「トイレにたどり着く前に尿が漏れてしまう」「残尿感がありすっきりしない」「くしゃみで尿が漏れてしまう」など排尿に関する悩みは年齢を重ねるごとに男女ともに増加します。
早期に受診することで、泌尿器科領域の重大な病気がみつかり、治療につながる可能性もあります。
また、薬物療法により日常生活の困りごとが改善することが期待されます。
当科には、泌尿器科女性医師も勤務しておりますので、少しでも気になる症状がありましたら、ご相談ください。
取り扱う主な疾患
泌尿器科は、腎臓、尿管、膀胱、尿道などの尿路、前立腺、精巣、陰茎などの男性器、および副腎などの後腹膜腔に生じた病気や怪我を取り扱う診療科です。対象疾患は、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路性器感染症、腎結石や尿管結石などの尿路結石症、前立腺癌・腎臓癌・膀胱癌などの尿路性器悪性腫瘍、前立腺肥大症と類縁疾患、排尿を司る神経の異常による排尿障害(神経因性膀胱)や女性男性の尿失禁、女性の骨盤臓器脱、副腎の腫瘍、男性不妊症や勃起不全などの男性機能障害などです。
診断面では、超音波画像診断装置(エコー)、尿路内視鏡、尿路X線診断、CT、MRI、アイソトープ診断装置、排尿機能検査、などの最新の設備をそろえています。あらゆる検査に当たって、苦痛を少なくするよう心がけています。
治療面では、泌尿器科癌の治療を積極的に行っています。前立腺癌に対してダヴィンチ®手術のほかトモセラピーを有し最先端治療を提供するばかりでなく、診断結果をカンファレンスにて検討し症例によっては監視療法をお勧めすることもあります。進行癌に対する、薬物療法や放射線治療に関しても最新の知見に基づいた治療を提供しています。前立腺癌ばかりでなく、泌尿器科悪性腫瘍の治療全般において、積極的に低侵襲な治療を提供出来るよう努めております。腎部分切除術、腎孟・尿管癌、膀胱癌に対してもダヴィンチ®手術を行っています。当院の癌治療の特色として院内に、緩和ケア内科、緩和病棟を有している点が挙げられ、緩和ケア治療に関しても手厚いサポートが可能です。
泌尿器科良性疾患に対する治療に関しても最新機器の導入を積極的に行っています。2024年にはLumenis Pulse™ 120H High Power Holmium Laser Systemを導入し、尿路結石や前立腺肥大症などに対する患者さまの負担の少ない手術を行っています。2018年度より、女性泌尿器科専門外来を開設し、腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱に対する腹腔鏡手術や経腟手術も得意としています。また、2021年4月から骨盤臓器脱に対するダヴィンチ手術も開始しています。
得意とする治療
1.腎尿路悪性腫瘍全般
腎癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌(後述)、精巣癌といった尿路悪性腫瘍の全領域に対して手術療法、放射線療法、抗がん剤治療といった種々の治療実績があり、対応が可能です。患者さまそれぞれのケースにおいて最善と考えられる治療法を選択し提供します。
2.ダヴィンチ®手術
当院では、前立腺癌、腎臓癌、腎盂尿管癌、膀胱癌や腎盂尿管移行部狭窄症の治療においてダヴィンチ®手術を行っています。骨盤臓器脱に対するダヴィンチ®手術も行っています。
3.尿路結石に対する検査・治療
当院では、尿路結石症の診断に際し、最新の画像診断(Dual Energy Imagingなど)を用い、保存的治療、破砕治療(体外衝撃波破砕治療(ESWL)、内視鏡的砕石手術(TUL, f-TUL, PNL)などの治療方針の決定に役立てています。
(a)尿路結石に対する体外衝撃波破砕治療(ESWL)
体の外から衝撃波をあてることによって、腎結石や尿管結石を切らずに治療します。1988年に国内では最も早い時期に治療装置を導入し、これまで多くの患者さんの治療にあたってきました。外来または入院にて治療を行います。
(b)尿路結石に対する内視鏡レーザー破砕治療(TUL, f-TUL, PNL)
体外衝撃波治療のみでは完治しない尿路結石症例も年々増加傾向にあります。当院では内視鏡レーザー結石破砕装置を用いた、経尿道的粉砕手術も行っております。 また、2017年1月より、超細径内視鏡による経皮的腎結石砕石術を国内の他施設に先駆けて導入しました。ESWLや経尿道的手術(TUL, f-TUL)では粉砕が困難な大きな腎結石(サンゴ状結石など)に対して4.8Fr(1.6mm)の内視鏡での治療が可能になりました。2024年にはLumenis Pulse™ 120H High Power Holmium Laser Systemを導入し、破砕高率上昇に寄与しています。最先端の技術を熟達した医師が駆使することにより、症例に応じて適切な治療選択を行い、低侵襲かつ安全性、確実性の高い結石治療を心がけています。
ボストン・サイエンティフィック・ジャパン株式会社より画像提供
4.前立腺肥大症に対する内視鏡レーザー前立腺核出術(HoLEP)
中年以降の男性では前立腺肥大症により、尿の出が悪くなることがあります。大きな前立腺に対しては開腹手術を行っていましたが、Lumenis Pulse™ 120H High Power Holmium Laser System導入により、HoLEPによる内視鏡治療が可能になりました。前立腺の大きさに関係なく施行でき、開腹手術に比べ低侵襲で出血も少ないため、患者さまに負担の少ない治療が可能になりました。
5.腹腔鏡手術
副腎腫瘍やダヴィンチ®手術が保険適応になっていない手術(尿膜管摘出術など)に対しては、腹腔鏡手術を中心に行っています。従来の術式よりも術後の回復が早く、痛みも軽度です。また、症例によって臍を使用した単孔式手術も行い、整容性にも配慮しています。
6.女性泌尿器科
2018年4月より中田部長を中心として女性特有の泌尿器科疾患に対応しています。対象としては骨盤臓器脱、女性に多い過活動膀胱や間質性膀胱炎、尿路性器症候群などです。加齢に伴い起こる女性ホルモンの大きな変動は思いのほか女性の健康に影響があります。最新の知見と長年の経験から健康で快適な生活を送るお手伝いができれば幸甚です。薬物療法~手術療法まで幅広い選択肢を提示いたします。
前立腺癌
根治手術、放射線療法、ホルモン療法、PSA監視療法、進行性前立腺癌(転移性、去勢抵抗性前立腺癌などを含む)などの治療法選択に関して、セカンドオピニオンを受け付けています。
前立腺癌早期発見のための血液検査(前立腺特異抗原:PSA)について
近年、わが国において、高齢化社会の到来と生活の欧米化により前立腺癌の頻度は飛躍的に上昇しています。前立腺癌の早期発見のためには、血液検査(前立腺特異抗原:PSA)が非常に有効であることがわかってきました。検査の結果、前立腺癌の疑いのある患者さんには1泊2日または2泊3日の入院で組織検査(生検)を受けていただいています。MRI超音波融合画像ガイド下前立腺生検(MRIフュージョン生検)
PSA高値にて前立腺癌の疑いのある患者さんの多くでは生検を行う前にMRI検査を受けていただき、前立腺内の癌が疑われる部位を確認しています。MRI検査で異常を認めた場合は、MRIフュージョン生検を行い、MRIの画像所見とリアルタイムの超音波検査画像を融合したナビゲーションにより精度の高い検査を行っています。 当院では、KOELIS TRINITY™を用いて生検を行うことで正確な癌の局在診断が可能となり、病状に適した治療選択ができると期待されます。KOELIS社より画像提供
前立腺癌に対するダヴィンチ®手術
2018年12月より、da Vinci Ⅹ®によるロボット手術支援下前立腺全摘除術を開始しました。これにより、これまで以上に術後の尿漏れや勃起への影響を少なくしつつ、癌の治療成績を向上出来ることが期待されます。
インテュイティブサージカル社より画像提供
前立腺癌に対する高精度放射線治療(トモセラピー)
早早期前立腺癌に対しては手術または通常の放射線治療によって良好な治療成績が得られていますが、さらなる改善を目指して高精度放射線治療が試みられています。当院でも2016年4月からトモセラピーを導入し、治療成績、安全性の高い前立腺がん治療を提供します。
診療実績
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
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セカンドオピニオン受け入れ患者数 | 25人 | 5人 | 10人 | 15人 | 16人 |
手術件数 | |||||
腎・尿管悪性腫瘍手術 | 23件 | 11件 | ***19件 | 19件 | 15件 |
前立腺悪性腫瘍手術 | *44件 | *44件 | *44件 | 36件 | 37件 |
膀胱全摘術 | 5件 | 3件 | 5件 | 2件 | 7件 |
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR―Bt) | 45件 | 43件 | 62件 | 49件 | 53件 |
経尿道的前立腺切除術(TUR―P) | **20件 | **9件 | **23件 | 6件 | 20件 |
経尿道的尿管結石破砕術(TUL) | 55件 | 50件 | 57件 | 56件 | 65件 |
体外衝撃波結石破砕術(ESWL) | 20件 | 8件 | 9件 | 16件 | 13件 |
前立腺生検 | 148件 | 109件 | 136件 | 146件 | 114件 |
*うちロボット手術4件(2018)、44件(2019)、44件(2020)、44件(2021)
**うちレーザー手術5件(2018)、8件(2019)、6件(2020)、8件(2021)、6件(2022)、16件(2023)
***うちロボット手術6件(2021)、6件(2022)、6件(2023)
スタッフ紹介
医師名・役職 | 卒業年・卒業大学 | 専門医等 | 専門分野・その他 |
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きとう ひろき 木藤 宏樹 部長 |
1997(H9)年 千葉大学卒 |
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医・指導医 日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医 日本内視鏡外科学会技術認定医 「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会」修了 日本ロボット外科学会 Robo Doc certificate 国内B級 ロボット手術認定医(daVinci X)泌尿器ロボット支援手術プロクター 「平成26年度臨床研修指導医養成講習会」修了 |
泌尿器科悪性腫瘍一般 腹腔鏡手術 人工透析 |
なかだ たかこ 中田 多佳子 部長 (女性泌尿器担当) |
1998(H10)年 富山大学卒 |
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医 日本泌尿器科学会泌尿器科指導医 ロボット手術認定医 (daVinci X) |
泌尿器科一般 女性泌尿器科 |
かとう まゆこ 加藤 繭子 医長 |
2008年 徳島大学卒 |
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医・指導医 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医 日本生殖医学会生殖医療専門医 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医 |
泌尿器科一般 |
り せいけん 李 政謙 医師 |
2017(H29)年 金沢医科大学卒 |
泌尿器科一般 | |
はやし たくみ 林 拓見 医師 |
2018(H30)年 高知大学卒 |
泌尿器科一般 | |
やまむら ごうへい 山村 剛平 医師 |
2020(R2)年 高知大学卒 |
泌尿器科一般 |
外来担当医
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | ||
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午前 | 初診 | 林拓見 | 李政謙 | 山村剛平 | 中田多佳子 | 当番医 中西雄亮(第1・3・5) 加藤繭子(第2・4) |
再診 | 中田多佳子 李政謙 |
中田多佳子 加藤繭子 |
木藤宏樹
林拓見
|
中田多佳子
(専門外来) 11:00~
11:30 (予約制2名
まで)
李政謙(第1・3・5) 手術 |
加藤繭子 | |
午後 (予約) |
15:00~木藤宏樹(初診のみ) |
木藤宏樹
(初診・再診予約) 山村剛平
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手術 |
手術
|
原則、予約制です。事前に予約をお取りにいただき、ご来院されますようお願いいたします。
電話予約:TEL 03−3269−8180(外来予約センター)
予約時間:平日8:30~17:00
2024/11/1更新
専門外来
当院では女性泌尿器科、男性不妊症、遺伝カウンセリングの専門外来や泌尿器科診療におけるセカンドオピニオンを行っております。
女性泌尿器科
女性特有、もしくは女性に多く見られる泌尿器科疾患が対象です。
骨盤臓器脱については保存療法、非メッシュ手術からロボット支援下仙骨膣固定術まで対応しており、患者様に最適と思われる治療法を検討します。
間質性膀胱炎に対する水圧拡張療法、ジムソ膀胱内投与治療
難治性過活動膀胱、神経因性膀胱に対するボトックス膀胱壁注入療法
GSM(尿路性器症候群)に対するホルモン療法など
その他、排尿の困りごとや会陰部の不快感でお悩みのことがありましたら遠慮なくご相談ください。
担当:中田
男性不妊症
「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、1年以上妊娠しないものと一般的に定義されています。WHOの調査によると、不妊症の約50%は男性側に原因があるとされており、夫婦二人で不妊治療に取り組むことが重要です。近年は晩婚化が進んでいますが、男性も年齢を重ねることで精子の質の低下などが生じ、妊孕性の低下を引き起こす原因となっています。男性不妊の原因は、精子の数が少ない、あるいは精子の運動性などの性状が低下する造精機能障害、炎症などで精子の通り道が閉塞することで生じる精路通過障害、勃起機能の低下などにより射精が困難となる性機能障害に分けられます。喫煙や肥満などの生活習慣も精子機能に影響を与えると言われています。男性不妊の原因の約5割は特発性造精機能障害で、根本的な治療法はありません。しかしながら、残りの5割は生活習慣の改善や治療により改善の余地があります。問診やホルモン検査、精液検査などを行い、検査結果に基づいて薬物治療や手術などを行っていきます。男性不妊診療は、挙児を得る上で非常に重要であるにも関わらず、男性不妊を専門とする医師は限られています。当院には男性不妊症の専門医である、泌尿器科領域の生殖医療専門医が在籍しており、診察から治療まで行っています。将来の妊活あるいは不妊治療に向き合うための第一歩として、男性不妊症外来を受診いただければと思います。診療は完全予約性ですので、まずはお電話でご予約ください。
担当:加藤
遺伝カウンセリング外来
近年のゲノム医療の進歩により、診断や治療を目的とした遺伝学的検査が日常診療として幅広く行われています。個別化医療の浸透に伴い、治療薬の有効性を高め、安全に使用することを目的とした、コンパニオン診断も行われるようになりました。遺伝子は生き物を形作るタンパク質などの設計図であり、一生涯変化せずに親から子へ代々受け継がれます。また、一部の病気に関しては、将来の病気の発症を予見することもできます。遺伝子は血縁者間で一部共有されており、個人の遺伝情報に十分配慮する必要があることから、遺伝学的検査の前後で遺伝カウンセリングを行うことが推奨されています。当院では、遺伝や遺伝子に関係する病気に関するお悩みやご相談がある方々を対象とした遺伝カウンセリングを行っています。ご自身やご家族の遺伝に関する悩みをお伺い、遺伝が関わる病気に対する正しい医学的知識と情報をわかりやすくお伝えしています。また看護師と協力して心理面のサポートも行います。遺伝カウンセリングは泌尿器科疾患に限らず行っております。診療は完全予約性ですので、まずはお電話でご予約ください。保険診療が認められた遺伝学的検査の結果を聞く場合は、保険診療で遺伝カウンセリングを受けることができます。それ以外の場合は、自由診療となります。自由診療での遺伝カウンセリングは、1時間につき11,000円(税込)です。
担当:加藤
セカンドオピニオン
泌尿器科診療におけるセカンドオピニオンを受け付けております。 自費診療となり、1回につき33,000円(税込)です。
担当:木藤