パンフレット

人工関節センター

診療・各部門

人工関節センター

人工関節手術は整形外科の手術の中でも非常に効果の大きい手術で、変形性関節症や関節リウマチによる関節の痛みや変形を大きく改善することができます。手術件数は年々増加しており、現在は日本全国で人工膝関節が年間約9万件、人工股関節置換術は6万件以上に行われています。こうしたニーズに答えるため当院にも人工関節センターを設立しました。当院では人工股関節の手術が今ほど一般的ではなかった1980年代より40年以上にわたって継続して治療を行っています。整形外科医を中心として各部門の経験豊富なスタッフが連携することにより、患者様に安全で確実な技術を提供させていただきます。
人工股関節、人工膝関節をはじめとして、肩関節、肘関節、足関節に対しても対応が可能です。それぞれに専門のスタッフが対応いたします。同種骨移植も可能な環境が整っており、高度変形例や骨欠損例など難治性の症例に対しても積極的に治療をおこなっております。

人工関節センター

診療内容・特色

JCHO東京新宿メディカルセンター人工関節センターでは、定期的なカンファレンスを行い、多くの医師で症例を共有して様々な意見を取り入れることで、より良い治療を提供いたします。
人工関節置換術を受ける患者様が安全で快適な入院生活を送れるように、整形外科医だけでなく、リハビリテーション専門医、理学療法士、看護師などの各部門が連携し、術前計画から手術、術後のリハビリテーションまで含めた包括的な診療を行います。

リハビリテーション室リハビリテーション室

人工股関節置換術

股関節の痛みを生じる疾患で頻度が高いものとして変形性股関節症、大腿骨頭壊死、関節リウマチによる股関節症などがあります。痛みの程度が強くない場合は生活指導やリハビリテーション、鎮痛剤の投薬といった保存的治療を行いますが、関節の変形が進行して痛みが強くなり歩行に支障が生じるような場合には人工関節置換術をおすすめしています。
当院では基本的に最小侵襲手術(MIS)である仰臥位前側方アプローチ(AL-Supine approach)にて手術を行っています。変形の強い症例などに対しては正確で確実なインプラント設置を行うためにナビゲーションシステムを用いています。前側方アプローチでは股関節周囲の筋肉や腱を可能な限り温存するため、主な合併症である脱臼の発生が少なくなっています。術後の筋力回復が早いため2週間前後の早期退院にも対応しています。また一方でじっくりとリハビリテーションを行いたい方に対しては、地域包括ケア病棟と連携して1か月~1か月半の比較的長期間の入院加療も可能となっています。
また、当院では1980年代から40年にわたり人工股関節置換術を行っているため、多くの患者さんを長期フォローしています。ポリエチレンライナーの摩耗に対しては人工関節摺動面交換術を、骨溶解が進行してインプラントが緩んでいる場合は人工股関節再置換術を行うなど患者さんの状態に合わせた手術を行っています。院内に同種骨バンクを持っているため、巨大な骨欠損例などの難治例にも対応しています。

ナビゲーションシステムナビゲーションシステム

人工膝関節置換術

人工膝関節は除痛や機能改善に非常に優れた手術であり、近年のインプラントや手技の進歩により耐久性も向上してきています。しかし、人工関節を長持ちさせるためには、正確な骨切りによるインプラントの正しい設置を行うことが重要です。当院ではナビゲーションシステムを用いることにより、計画通りの正確な骨切りを行い、インプラントを適切に設置できるようにしています。実際に、ナビゲーションを用いることにより従来の方法と比較して有意に骨切りの誤差が小さくなることが多くの論文で報告されています。
比較的進行の少ない変形性膝関節症や内側顆骨壊死などに対しては単顆置換術(UKA)を行います。UKAは人工膝関節全置換術(TKA)と比較すると皮膚切開が小さく、筋肉などへのダメージもほとんどないため術後の回復も早く、良好な機能を獲得できます。

ナビゲーションシステム

ナビゲーションシステムナビゲーションシステム

人工肩関節

肩関節の領域においても近年積極的に人工関節置換術が行われるようになってきました。肩の人工関節には上腕骨のみを置換する人工肩骨頭及び上腕骨、肩甲骨関節窩を解剖学的に再建する全人工肩関節がありますが、これらは肩の腱板機能が温存されていることが前提です。これらに加え腱板機能修復不能の患者さんにも良好な成績が期待できるリバース型人工肩関節が本邦でも2014年より使用可能となりました。上腕骨近位部の粉砕骨折、軟骨の変性や関節リウマチに伴う変形性肩関節症及び腱板断裂後に続発して生じる腱板断裂性肩関節症に対して、患者さんの年齢や活動性、腱板機能の状態に応じて肩関節の機能再獲得を目指して適切な人工肩関節置換術を行います。
特にリバース型人工肩関節置換術は日本整形外科学会の定めるガイドライン要件を満たしている医師のみが執刀可能で、一定の手術適応基準もあります。当院では土谷早穂が認定医となっております。

リバース型人工肩関節置換術

リバース型人工肩関節置換術リバース型人工肩関節置換術

人工肘関節置換術

肘関節は正常な上肢機能を関節リウマチ、変形性肘関節症などにより肘関節の痛みや機能障害に対しては人工肘関節置換術を行います。また、高齢者の上腕骨遠位の粉砕骨折に対しても人工肘関節の適応となる場合があります。
人工肘関節には上腕骨コンポーネントと尺骨コンポーネントに連結がないタイプ(非拘束型)と連結されたタイプ(半拘束型)があります。骨欠損が比較的少なく、靭帯などの軟部組織が保たれている場合には非拘束型を用い、骨欠損が強い例や靭帯の機能が失われている症例に対しては半拘束型を用いています。

非拘束型非拘束型

拘束型拘束型

変形性足関節症 〜ひとりひとりに最も適した治療法を〜

足関節(足くび)の軟骨がすり減って、変形が進行した状態を変形性足関節症と言います。

変形性足関節症の約8割が以前足関節の捻挫や骨折などの外傷が原因で発症すると考えられております。薬物療法、注射療法、インソール療法など保存的治療にて軽快しない場合は手術療法が必要になる場合があります。

当院では固定術、人工関節置換術、骨切り術の3種類の手術方法の中から患者様ひとりひとりに最も有益と思われる方法を選択しております。

人工足関節置換術 ~足関節の動きを温存~

当院では変形性足関節症に対して痛みを生じている関節を金属とポリエチレンに置き換える人工足関節置換術を積極的に行っております。足関節固定術と比較して足関節の動きを残せることが最大のメリットです。

写真9

外反母趾、リウマチ足、強剛母趾、足関節捻挫、変形性足関節症、偏平足 詳しい説明は、こちら

料金

人工関節センターでは保険診療のみを行っており、自由診療は行っておりません。(外国の方など日本の保険を持っていない方を除く)
また、外来を受診の際は紹介状をお持ちください。(紹介状をお持ちでない場合は原則として初診時選定療養費が発生します)
参考:目安としてお使いください

★変形性股関節症、変形性膝関節症を人工関節置換術で行った場合

人工関節置換術を行い、1ヶ月(必ず1ヶ月ほど入院を要するというわけではない)ほど入院をし、10割で計算した場合300万円弱かかります。実際の支払額はその3割(90万円)もしくは1割(30万円)となりますが、高額療養費制度があるので、実際の支払額はそこまで達さないことがあります。

スタッフ紹介

整形外科医師: 廣瀬 旬(センター長)、三嶋真爾、佐藤裕美子、小松大悟、土谷早穂、張成虎
リハビリテーション科医師: 正田修己
膠原病内科・リウマチ科医師: 菊地英豪
麻酔科医師: 児玉里砂
リハビリテーション部、整形外科外来看護師、整形外科病棟看護師、手術室看護師

診療体制

氏名 専門領域 外来診療日 資 格
廣瀬 旬廣瀬 旬
(ひろせ じゅん)
センター長
股関節
膝関節
肘関節
月曜 午前
月曜 午後
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
評議員
三嶋 真爾
(みしま しんじ)
(整形外科 主任部長)
膝関節 水曜 午前
水曜 午後
金曜 午前
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本整形外科学会 認定スポーツ医
日本体育協会 公認スポーツドクター
日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会
評議員
佐藤 裕美子
(さとう ゆみこ)
股関節 水曜 午前
木曜 午後
日本整形外科学会 整形外科専門医
小松 大悟
(こまつ だいご)
股関節 月曜 午後
水曜 午前
金曜 午前
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本人工関節学会 認定医
土谷 早穂
(つちや さほ)
肩関節 月曜 午前
水曜 午前
水曜 午後
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本整形外科学会 認定スポーツ医
日本体育協会 公認スポーツドクター
張 成虎
(ちゃん そんほ)
足関節 火曜 午前
金曜 午前・午後
日本整形外科学会整形外科専門医
日本整形外科学会運動器リハビリテーション医
日本整形外科学会リウマチ認定医、リウマチ財団登録医
日本足の外科学会委員会委員

受診案内

基本的には整形外来診療日の担当が診察を行います。予約は通常の外来診療と同じ外来予約センター(03-3269-8180)で承ります。予約のない場合は初診の患者様として診察をいたします(当日の予約状況により診察が難しくなる場合もございますので、予めご了承ください)。紹介状をお持ちの方は紹介状を必ずお持ちください。