パンフレット

形成外科

診療・各部門

診療内容

目立たない手術瘢痕

皮膚の内側を吸収糸で縫合(真皮縫合)し、外側をナイロン糸で縫合し目立たない傷跡にします。
黒子(ほくろ)・いぼ・腫瘍(粉瘤・脂肪腫・耳下腺腫瘍など)の手術に限らず、ほとんど全ての手術で基本的に真皮縫合を用いた丁寧な皮膚縫合を行っています。

外傷

切り傷や擦り傷ばかりでなく、手足の重度の外傷(骨折・腱や神経の断裂・指切断)も扱っています。熱傷(やけど)や皮膚欠損創の植皮および顔面骨の骨折も形成外科で治療しています。

ご存じですか? 保険で治療できます

腋臭症(わきが)は保険適応です。
血管腫(赤あざ)のレーザー治療は現在行っておりません。

自由診療(自費)も行っています

シミ取り治療

内服薬やシミ取りクリームによる治療を行っています。

シワ取り治療

ボトックス®注射による治療を行っています

メッセージ

形成外科をご存じですか

形成外科と整形外科はどう違うのですか?という質問を時々受けます。大まかに言えば、全身の皮膚・ 脂肪・筋肉などの軟部組織を主に扱うのが形成外科、全身の骨・関節を主に扱うのが整形外科です。 形成外科ではさらに顔面骨骨折や、手足の骨折、切断指などの骨に対する手術も行っております。つまり形成外科は「皮膚の外科・顔の外科・手の外科」を行っております。取り扱う疾患や診療実績の項をご覧ください。自費診療で、シミ取り外来も行っています。

研修を希望される研修医のみなさまへ

各科研修プログラムはこちらです。

取り扱う主な疾患

眼瞼下垂

眼瞼下垂は、瞼が垂れ下がり、ものが見えにくくなる疾患の総称です。
原因は、瞼の皮膚のたるみ、眼を開ける筋肉のゆるみが考えられ、その両方がまざりあった病態が最も多くみられます。
基本的には、両側に発症し加齢に伴う現象と考えますが、ハードコンタクトレンズの長期使用者や、眼科手術術後に、眼を開ける筋肉が外れてしまうことによって、片側性に発症することもあります。
治療は、
①皮膚切除(単純に瞼の皮膚切除を行う)
②挙筋前転法(瞼の皮膚切除を行ない、さらに眼を開ける筋肉を引き締める手術)
③つり上げ術(腱を移植して眉毛の動きに合わせて瞼を動かすようにする手術)
を行ないます。
治療法を選択する際の目安として、
A、挙筋滑走距離(下から上を見た時に動く睫毛の距離)
B、MRD(黒目に瞼がどのくらいかかっているか)
を参考にします。
ともに正常の場合、皮膚切除をおこないます。二重の線に沿って皮膚を切除する方法と、眉毛の下の皮膚を切除する方法があります。
睫毛の動く距離が10㎜以下で、黒目に瞼がかかっている場合は、筋肉が緩んでいると判断し、挙筋前転法を行ないます。動く距離が5㎜以下では、筋膜移植を行ないます。
これらは、あくまで参考ですので、40代の頃の写真(下垂する前の)をお持ちいただき、はっきりとした二重にしたいか、あまり印象を変えたくないかなど、ご本人の希望をお聞きしたうえで、最終的に術式を選択いたします。
・瞼は組織が薄く、水分を保持しやすいため、術後はかなり腫脹し変色します。
翌日鏡を見てびっくりされる方がほとんどです。
形が落ち着くまでに、術後2週間はかかりますので、余裕をもって手術の予定を組んでいただきます。抜糸は、1週間から10日で行います。
・原則的に、一泊入院していただき、両目同時に手術を行います。片側ずつの場合、術後、良かった方の瞼が下がってくることが多いからです(Hering 徴候)。
片側ずつの手術をご希望された場合には、効き目(よく見ている方の目、通常は利き腕と一緒)から行います。いずれの場合も、術後眼帯などはせず、翌日から洗顔可能です。
・術後、見やすくなることで肩こりが改善する事もあります。
手術は、保険適応です。

巻き爪、陥入爪、鉤爪、その他爪変形

爪の変形は、合わない靴、爪の切り方、脚力の低下、外反母趾、白癬、骨の短縮や変形、外傷後の自然抜爪など様々な原因で生じます。
治療上、最も大切な事は、安易に抜爪や手術を行わない事です。
当院では、爪の変形を来した原因を精査し、病因となった疾患に対してもアプローチすることで、再発を予防しております。
治療法は、
①爪を削る(電動の削り器で爪を薄くします)
②形を矯正する(形状記憶のワイヤーもしくはレーザーで爪の形を矯正します)
③形を成形する(つけ爪をつける事で、自然な爪の成長を促します)
これらを組み合わせて、さまざまな爪変形症に対応しております。
・爪白癬に対しての診断、外用薬による治療も行っております。
・外反母趾に対する骨切り手術(水平骨切り法)や保存的治療の指導も行っております。
保険適応可能ですが、一部処置については自費診療となります。
料金や治療法についての詳細は、一度受診して頂き、直接医師にご相談ください。

手外科

当院形成外科は、慈恵医大形成外科の関連病院です。慈恵医大形成外科は、整形外科手外科班が独立して、発足した経緯があります。当院形成外科の初代中村部長は、形成外科の発足メンバーであり、手外科・マイクロサージェリーのスペシャリストでした。増澤前部長も、丸毛英二名誉教授の薫陶を受けた手足先天異常疾患のスペシャリストです。
このような歴史があり、当院では、世間では珍しく、形成外科が手外科を担当しております。
手外科領域の疾患は、
①外傷    ⇒ケガ(骨折、靭帯損傷、神経損傷、腱断裂)
②先天異常  ⇒生まれつきの変形(握り母指、母指多指症、多合趾症など)
③変性疾患  ⇒老化(腱鞘炎、へバーデン結節、母指CM関節症、デピュイトラン拘縮)
④末梢神経疾患⇒手のしびれ(手根管症候群、肘部管症候群、胸郭出口症候群)
⑤リウマチ性疾患⇒リウマチによる関節変形、腱断裂
と大きく5つに分けられます。 ・当院では、年間100例以上の手の外傷を扱っており、優秀なハンドセラピストチーム(作業療法士)と連携しチーム医療を行なっております。
・先天異常疾患は、増澤前部長が裂手症を専門としており、増澤前部長の幅広い経験に基づく指導のもと診療を行っております。
・腱鞘炎およびへバーデン結節などの手指の変性疾患は、遺伝、ホルモンバランス、職業歴、姿勢、自己免疫など、さまざまな要素が絡まりあい、発症すると考えられております。
当院では、手指の変性疾患に対して、副腎皮質ステロイドホルモン製剤の局所注射、ならびに装具療法、ハンドセラピストによる姿勢矯正のストレッチ指導や可動域訓練を行っております。
また、変形や疼痛の度合いによって、手術(関節固定術)をおすすめする場合もあります。
・手のしびれは、神経が頸椎(首の背骨)を出てから指先にいたるまでの、どの部位が圧迫されても生じる可能性があります。このため、しびれの原因をつきとめる事が、とても重要になります。頸椎疾患を念頭に置きながら、当院脊椎・脊髄外科、ハンドセラピストチームと連携し、治療をすすめていきます。神経伝導速度・筋電図などの生理学的検査や、MRIなどの画像検査を並行して行い、ストレッチ指導や内服などの保存的治療から開始します。経過をみながら、圧痛点に試験的に注射を行うなどの診断的治療を重ねていき、徐々にしびれの原因となっている部位をつきとめます。変性した靭帯や骨などによる明らかな圧迫が疑わしい場合(手根管症候群、肘部管症候群)は、手術を行います。
特に原因が思い当たる事のない、手の変形、痛み、しびれでお困りの方は、たくさんいらっしゃると思いますので、是非一度、外来におこしください。

シミ、ホクロ、イボの治療

顔のシミには、日光黒子、肝斑、色素沈着、ソバカスなどの色素性病変から、ADM(後天性真皮メラノーシス)や太田母斑などのアザ疾患まで多彩な病態が含まれます。一般的には、上記の病態が複数混在していることが多く、治療に際してはそれぞれの鑑別が重要なポイントとなります。
ホクロも、色調がうすく平坦なものから、急速に増大する皮膚がんを疑うようなもの、イボでは尋常性疣贅(いわゆるイボ)から脂漏性角化症(老人性疣贅)まで、多彩な臨床形態を呈します。
安易にレーザー治療や、冷凍凝固を行なわず、ダーモスコーピーで鑑別し、場合によっては生検(組織の一部を切除し、病理検査の上、悪性良性を判断します)を行い、安全に治療をすすめていきます。

①シミの治療
当院では、ハイドロキノンクリーム外用、トランサミン(トラネキサム酸)、シナール(ビタミンC)、ユベラ(ビタミンE)内服を用いた保存的治療を行なっております。
肝斑は、原則的にレーザー治療が無効であるため、肝斑が混在している場合には、先行して保存的治療を行ないます。
色調の薄いシミ(日光黒子)は、肝斑との鑑別が困難であり、レーザーに対する反応が弱く、照射後に色素沈着を来す可能性が高いので、必ず保存的治療を併用して頂きます。
その他、スキンタイプ(日焼けした後の肌の状態)によって、経過や治療法には個人差があります。詳細は是非外来にお越しいただき、直接医師にご相談ください。
シミは基本的に自費診療となります。(太田母斑は保険診療可能です)

②イボの治療
尋常性疣贅は、パピローマウィルスがその発症に関与すると考えられております。したがって、治療法は液体窒素による冷凍凝固療法を行ないます。
脂漏性角化症は、液体窒素で治療可能ですが、術後に色素が残存することがあるので、炭酸ガスレーザーを用いる場合もあります。
原則的に液体窒素は保険適応となります。炭酸ガスレーザー治療は自費となります。

③ホクロの治療
ホクロは、まず悪性か良性かを見極めることが重要です。
ダーモスコーピーで観察し、悪性が疑わしければ生検を行ないます。
悪性の場合は、専門病院へご紹介いたします。
治療法は、
A、切除(場合によって皮弁形成)
⇒辺縁から1㎜離して切除します。シワに沿って単純に縫合する場合と、周囲組織から組織を移動し、ひきつれによる変形を防止する場合があります(皮弁形成)。単純縫合であれば、傷跡は一直線に、皮弁形成であれば、Z型、もしくはY字型となります。
B、炭酸ガスレーザー
⇒盛り上がったホクロに対しては、炭酸ガスレーザーで表面を蒸散します。
ホクロの細胞は、真皮内まで存在するため、原則的には切除が望ましいと考えますが、部位や大きさ、患者さんの希望に応じて、レーザー治療も可能です。
治療法や費用の詳細は、外来にお越しいただき、直接医師にご相談ください。

診療実績

2016年度
入院手術
全身麻酔 腰麻・伝達麻酔 局所麻酔・その他
 Ⅰ.外傷 27件 35件 13件
 Ⅱ.先天異常 2件
 Ⅲ.腫瘍 8件 2件 12件
 Ⅳ.瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 3件 1件 2件
 Ⅴ.難治性潰瘍 3件 0件 3件
 Ⅵ.炎症・変性疾患 12件 6件 25件
 Ⅶ.美容(手術)
 Ⅷ.その他
 入院手術合計 55件 56件 56件
 外来手術
全身麻酔 腰麻・伝達麻酔 局所麻酔・その他
Ⅰ.外傷 17 40
Ⅱ.先天異常 3
Ⅲ.腫瘍 2 49
Ⅳ.瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 1 3
Ⅴ.難治性潰瘍 4
Ⅵ.炎症・変性疾患 6 57
Ⅶ.美容(手術)
Ⅷ.その他
外来手術合計 26 156
総合計(入院手術+外来手術) 349件
2017年度 2018年度
入院手術 入院手術
全身麻酔 腰麻・伝達麻酔 局所麻酔・その他 全身麻酔 腰麻・伝達麻酔 局所麻酔・その他
 Ⅰ.外傷 22件 39件 9件 21件 35件 35件
 Ⅱ.先天異常 3件 5件 0件 1件
 Ⅲ.腫瘍 13件 6件 11件 34件 5件 12件
 Ⅳ.瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 9件 1件 6件 2件 1件
 Ⅴ.難治性潰瘍 2件 3件 1件 3件
 Ⅵ.炎症・変性疾患 2件 13件 14件 7件 22件 9件
 Ⅶ.美容(手術) 1件 1件 0件 0件
 Ⅷ.その他 18件 0件 0件 22件
 入院手術合計 47件 60件 56件 77件 65件 83件
 外来手術  外来手術
全身麻酔 腰麻・伝達麻酔 局所麻酔・その他 全身麻酔 腰麻・伝達麻酔 局所麻酔・その他
Ⅰ.外傷 12件 38件 0件 5件 102件
Ⅱ.先天異常 3件 0件 0件 2件
Ⅲ.腫瘍 58件 0件 2件 106件
Ⅳ.瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 7件 0件 0件 4件
Ⅴ.難治性潰瘍 1件 23件 0件 0件 2件
Ⅵ.炎症・変性疾患 1件 0件 1件 64件
Ⅶ.美容(手術) 18件 0件 0件 2件
Ⅷ.その他 12件 0件 0件 84件
外来手術合計 0件 13件 160件 0件 8件 366件
総合計(入院手術+外来手術) 336件 599件
2019年度 2020年度
入院手術 入院手術
全身麻酔 腰麻・伝達麻酔 局所麻酔・その他 全身麻酔 腰麻・伝達麻酔 局所麻酔・その他
Ⅰ.外傷 17件 22件 11件 13件 10件 3件
Ⅱ.先天異常 2件 2件 1件
Ⅲ.腫瘍 34件 4件 19件 17件 1件 8件
Ⅳ.瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 8件 1件
Ⅴ.難治性潰瘍 5件 2件 4件 2件 6件
Ⅵ.炎症・変性疾患 9件 17件 12件 6件 11件
Ⅶ.美容(手術) 1件
Ⅷ.その他 33件 3件 33件
入院手術合計 75件 44件 79件 45件 24件 46件
外来手術 外来手術
全身麻酔 腰麻・伝達麻酔 局所麻酔・その他 全身麻酔 腰麻・伝達麻酔 局所麻酔・その他
Ⅰ.外傷 15件 101件 22件 22件
Ⅱ.先天異常 3件 1件
Ⅲ.腫瘍 3件 121件 4件 62件
Ⅳ.瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 5件 1件 5件
Ⅴ.難治性潰瘍 3件 1件
Ⅵ.炎症・変性疾患 1件 39件 10件 31件
Ⅶ.美容(手術)
Ⅷ.その他 6件 1件 3件
外来手術合計 0件 19件 278件 1件 37件 61件
総合計(入院手術+外来手術) 495件 255件

スタッフ紹介

医師名・役職 卒業年・
卒業大学
専門医等 専門分野・その他
松浦 愼太郎まつうら しんたろう
松浦 愼太郎
部長
1985(S60)年
東京慈恵会医科大学卒
日本形成外科学会専門医
日本手外科学会専門医
日本形成外科学会皮膚腫瘍外科分野指導医
日本形成外科学会小児形成外科分野指導医
手外科
四肢先天異常
ひさまつ たけろう
久松 丈朗
医師
2021(R3)年
埼玉医科大学卒
一般形成外科

外来担当医

午前 松浦 愼太郎 松浦 愼太郎
久松 丈朗
手術 松浦 愼太郎
久松 丈朗
松浦 愼太郎
手術
午後 久松 丈朗
手術
久松 丈朗 
手術
手術 手術 久松 丈朗

電話予約:TEL 03−3269−8180(外来予約センター)
予約時間:平日8:30~17:00

2024/10/1 更新

特殊外来

セカンド・オピニオン外来

当院以外の施設で形成外科手術を予定している方で、治療法に不安をお持ちの患者さんの相談をお受けします。
診療時間 15:30~16:30(火)
予約制です。

シワ取り外来

ボトックス注射®(アラガン社製)による「シワ取り外来」のご案内

ボトックス®注射とは
ボトックス®注射とは“A型ボツリヌス菌毒素”を精製したものを使用した治療法のことです。菌そのものを注入するわけではなく、菌が持つたんぱく質(アミノ酸)を注入します。本剤は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスを初め世界70ヵ国以上でシワ治療への適応が承認され、美容医療・アンチエイジングに広く使用されています。日本においては2009年1月に「65歳未満の成人における眉間の表情皺」を適応として承認されました。

シワは、加齢にともなって自然にできていきます。顔のシワの多くは、微笑む・笑う・顔をしかめるなどの表情の変化によって筋肉を繰り返し動かすことによってできていきます。ボトックス®注射は注入した部位の筋肉の働きを局所的に弱めることで、表情を変化させた際にできるシワが出来にくくなります。

Q1.ボトックス®注射は痛みがありますか?
A:シワのある部位数カ所に注射をするため、ある程度の痛みはあります。ご希望の方は局所麻酔を塗ってから、治療を行います。(その場合別途費用がかかります)

Q2.効果はどれくらい持続しますか?
A:注入後3~4日目より効果が表れ、個人差がありますが約4〜6ヶ月間持続します。本剤はタンパク質が主成分のため、治療を続けていくうちに、ごく稀に体内で抗体が作られ、効果が減弱することがあります。

Q3.ボトックス®注射でボツリヌス中毒になることはありますか?
A:ボツリヌス菌は食中毒を起こす菌として知られています。ボトックス®注射ではボツリヌス菌そのものではなく、ボツリヌス菌の産生するボツリヌス毒素をごく少量注射します。食中毒を起こすとされるボツリヌス毒素は3万単位なのに対し、ボトックス®注射では数十単位と少量であり、適切な治療を行っている限り、中毒をおこす心配はまずありません。

【料 金】
目尻のシワ(両側)  30,000円(税別)
額のシワ       30,000円(税別)
眉間のシワ      30,000円(税別)
※アラガン社のボトックス®製剤を使用しています。
※自費診療となります。

【診察・施術】
完全予約制です。形成外科外来(形成外科の医師が施術します)
※施術日のご希望日時につきましては、ご予約時にご相談ください。

【予約方法】
予約電話受付時間 平日14時~16時30分
電話番号 03-3269-8111(代表)から「形成外科外来」にて予約をお願いします。